【本・BOOKな話題】(2005.6.30〜)・・・2006.9
 
 
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◆BOOK21・「謎の古代女性たち
 黒岩重吾 中央公論社 
(2006.9.12)

黒岩重吾・・大正13年(1924)年〜平成15年(2003.3.7) 大阪生まれ。同志社大学卒業後、様々な仕事に就く傍ら文筆活動をし、『背徳のメス』で直木賞を受賞しました。晩年は古代史小説に重点をおき、昭和55年、『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞しました。「落日の王子」「聖徳太子」など数多くの古代史小説をのこしました。歴史浪漫の作風が評価され、平成4年に菊池寛賞を受賞しました。黒岩氏は古代史小説の第一人者でした。

【本書には、古代史上の有名な実在・架空の女性合わせて8名ほどがとりあげられています】

★恋人がいた?・・卑弥呼(実在・3世紀)

卑弥呼は、神の声を伝える巫女的な存在でした。卑弥呼の新興宗教は中国初期の道教の影響を受けたとされています。大勢の熱狂的な信者が卑弥呼のもとに集まり卑弥呼の姿を見ただけで地面にひれ伏し、人々は原宗教的な昂奮に包まれていたとされています。30あまりの小国の王たちも卑弥呼の託宣を聴き、託宣通りに行動したとされています。筆者は卑弥呼が自ら小国の王者たちに「自分を王にせよ、そうすれば紛争は治まる」と託宣したのかもしれないと述べています。

筆者は「卑弥呼は邪馬台国という倭連合国の女王になったが単に神懸かりな巫女的な存在に留まらず、女王として外交政策にも力を注ぐ国際感覚が豊かな賢明な女性であった」と語っています。卑弥呼は魏の植民地である朝鮮半島の帯方(たいほう)郡に絶えず使者を送り親密な関係を保ったり、239年に臣下の難升米(なんしょうまい)を洛陽に遣わして、魏の皇帝から「親魏倭王」の金印を貰って、魏との関係を深めています。また邪馬台国(筆者は北九州説)の南の熊本あたりとされる狗奴国(くぬこく)とも争いながら倭連合国を治めていたとされています。

■◇卑弥呼の恋人?!・・・筆者は卑弥呼を補佐していたのは、弟であろうとも語っています。卑弥呼は一生独身だったが、ただひとり卑弥呼に食事を運ぶ男性と懇意の仲だったのではないか・・と推測しています。卑弥呼の言葉・命令や要求を重臣に伝えたのは弟でなく、特定の男の人・・食事を運びながら宮中に出入りしていた彼(『魏志』倭人伝には名前がのこっていない)こそ卑弥呼の意中の人・・と。


★旅先から仁徳天皇の元へ帰らなかった・・磐之媛(いわのひめ・実在・5世紀)

磐之媛は、河内の王、仁徳天皇の皇后です。仁徳天皇は勢力を強化するために大和の有力豪族の葛城襲津彦(そつひこ)の娘の磐之媛(いわのひめ)と政略結婚しました。そして履中(りちゅう・長男)・反正(はんせい・三男)を授かったとされています。二男・四男については諸説があるようです。
『記 紀』には磐之媛が大変嫉妬深い女性であったとされています。仁徳天皇は、父応神が和珥(わに)氏族系の女性に産ませた八田(やた)王女を愛するようになります。天皇は八田王女を後宮に入れたい旨を磐之媛に告げますが、猛烈な反対にあい実現できませんでした。ところが仁徳30年の秋、磐之媛が紀国の熊野岬の長旅に出ている時、八田王女を後宮に入れてしまいました。そして皇后の磐之媛は侍女から「皇后の留守中に王は八田王女と昼も夜も楽しんでいます」と告げられ、大変なショックを受けます。磐之媛は舟を高津宮に向けず、山背(京都府)に向け、縁者か部下の知り合いの韓人の家に身を寄せたそうです。実家の大和の葛城氏の家には、王に背き血族を裏切った形になるので戻れなかったそうです。

仁徳天皇は皇后に逃げられたとあっては葛城氏や臣下に対して面目が立たないので、高津宮から磐之媛に遣いをまわしたり、天皇自ら戻るように懇願しに行きますが門前払いにあいます。磐之媛は事件から5年後の仁徳35年、筒城宮(つつきのみや)で亡くなりました。2年後乃楽山(ならやま)に葬られ、翌年天皇は正式に八田王女を皇后にしました。しかし、その後、八田王女の妹の雌鳥(めとり)王女も好きになったそうです。

■◇筆者は磐之媛は単に嫉妬深い、「鉄のような女性ではなく
将来を見通した誇り高い女性、当時の女性の生き様としては革命的」と述べています。

■◇長い歴史の中で権力者の大部分の妃は、側室がいても忍の一字で諦めてきた部分があると思いますが、古代でこのように意思表示がはっきりとした女性がいたというのは驚きでした。他に、天照大神、箸墓古墳の倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)、神功皇后(じんぐうこうごう)、推古天皇(実在)も登場します。勇ましい古代の女性の姿が浮かび上がります。


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