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◆抹茶のある風景 

TV視聴・・NHK直伝「和の極意」朝茶


2011.8  火曜日夜10:25〜10:50 4回

和の極意「朝茶」が4回シリーズで放映されています。さっそくテキストを購入しました。

■第1回 「朝の時間を楽しむ」 8.2

路地で客が亭主を待つ間、亭主がつくばいの水を周囲に打つ音・つくばいの水を新しくする音が印象的です。亭主と客がことばを交わさず、初めは黙礼だけ。客はつくばいで手や口をすすぐ、つくばいの作法もすがすがしい。

炭点前(すみでまえ)の炭をつぐ所作も、炭の配置も芸術なのだなと思いました。客の炭拝見の後、亭主が水次やかんで、高い位置から釜に水を注ぐ所作も印象的。亭主の細かい演出や気配りが「もてなしの心なのだな」、と思いました。ギヤマンの緑色の香合もすてきでした。次回も楽しみです。


この朝茶の指導にあたるのは、武者小路千家第14代家元の千宗守(せん・そうしゅ)氏です。番組の中での爽やかですがすがしい語り口と、お着物の抹茶色がとてもすばらしいです。講師役は「官旧庵」理事の芳野宗春氏、進行役は中川緑アナウンサーが務めます。

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■第2回 「夏をいただく」(懐石料理) 8.9

濃茶の前に、濃茶をおいしくいただくために、朝茶の献立(懐石料理)が供せられます。初めに、折敷(おしき・・おぼん)に向付(むこうづけ)・汁・飯が盛られてきます。亭主の挨拶のあと、客は「お相伴(しょうばん)いたします」「お先でございます」と声を掛け合います。

そして折敷の受け取り方、汁椀・飯椀のふたのとりかた・置き方、箸の持ち方・置き方が伝授されます。飯は一口にとどめます。続いて、香の物・盃と銚子が出されます。お酒をいただいてから向付を汁がたれないように懐紙を用いて食べます。続いて、飯器・煮物(はもなど)・鉢(ずいきなど)・八寸(あわびと山菜)が出されます。八寸のあと、湯斗(香ばしい香りの湯)が出され、飯にかけて湯漬けにして供します。

最後に残しておいた一切れのたくあんで、お椀をぬぐい清めます。懐紙で器を清め、器を重ね合わせます。懐紙で箸の先をふきとり折敷の右縁に置きます。客人の折敷の中が整ったら、正客の合図で一斉に箸を折敷に落とします。その音で亭主が給仕口を開けて、「お粗末様でした」と挨拶をします。

最後に、主菓子(すりおろした蓮根を寒天で固めた、白色の四角い和菓子)が出されました。

【形や所作を重視する茶の湯】

「一見めんどうに思われがちな、細かい決まり・制約の中での懐石の所作や、食事の終わりをことばでなく音で知らせる所作」というのは、「日常の世界を離れた、独特の空気・空間・時間を享受するため」・・と家元の千宗守氏が語っていました。「茶の湯」・・ひととき日常を離れる体験によって、精神修養ができ、心が豊かになり、日常を見つめ直し、明日への活力につながる奥深さを感じました。

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■第3回 「涼しさを演出する」(濃茶・名水点・薄茶) 8.16


後の席入り・・後座の準備が整ったら亭主は銅鑼を打って客に知らせます。大中小の音で7回ならします。露地の腰掛の客はつくばって銅鑼の音を聞きます。客は席入りしたあと、床の掛け軸や点前座(茶道具が飾り付けされたもの)を拝見します。掛け軸は涼しさを呼ぶ陶淵明の詩文でした。

名水を使った濃茶・・一人あたりの抹茶の量は3勺なので、3×4人分を、茶碗に抹茶入れます。適温にした湯を注ぎ、だまがのこらないようによく練ります。そして適量の湯を注ぎます。

客が「どちらの名水ですか」と尋ねると、亭主は「大原三千院の井戸からの水です」と答えます。亭主は客のために、名水を遠方から取り寄せて使います。今回の名水は、大原にある弘法大師の高弟が掘った井戸の「大原香水」を用意されました。

客は濃茶を飲み終わると、茶碗に残った、抹茶の練り具合や、茶碗を手にとって拝見します。茶碗は五代文叔 赤楽茶碗、 江戸時代の手作りのものでした。

名水・・客から名水を所望する。生水ではなく必ずさ湯にします。名水を正客が飲んで茶碗を返したあと、次客は「私どもは、どうぞおもあいで」と挨拶する。名水は一緒でいいですよ・・という意味で、時間を短縮させるため。客は「お先でございます」「ちょうだいいたします」と声を掛け合います。

続き薄茶

半東が主(おも)茶碗を客に運び、亭主の手助けをします。お干菓子は黄緑色の「青かえで」と、白色の「滝せんべい」でした。夏にふさわしい涼しさの演出がここにもありました。

【こうして朝の涼しいうちに朝茶が終え、日常の生活に戻っていきます。1つの茶碗の茶を客がみなで飲んだり、ふくさや懐紙を使った複雑な所作や挨拶は、「人と人とのコミュニケーションをとる潤滑油の役目をしています・・」と千宗守家元が語っていました。毎回、様々な所作に驚き、茶道は心の有り様に深く関わるものであると感じます。次回は香川県高松市の茶室からの放送で、これも楽しみです。】


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■第4回 「水辺の茶室で朝茶をたのしむ」 8.23

今回は武者小路千家とゆかりの深い、香川県高松市栗林(りつりん)公園で行われました。栗林(りつりん)公園は広さ75fで、江戸時代・高松藩の大名屋敷の回遊式庭園となっています。大変美しい庭園です。茶室は「新日暮亭」を使いました。江戸初期の茅葺き屋根の茶亭枯れた味わいがあります。

今回は4回シリーズの最終回でしたので第1回〜3回までの総復習編でした。大自然の中での茶の湯というのもまたあらたな趣向です。正客は千宗主家元、次客は中川緑アナウンサーが和装で務めます。今回の亭主は、懐石料理店主の山本亘氏が務めました。

流れつくばいで清める・・
客人用の舟や、流れつくばいには驚きました。流れつくばいは形の無い川の清流でしたので、「何と風流な・・」と思いました。

        

床の間の飾り拝見・・朝に咲く木槿(もくげ)と、縞葦(しまあし)が涼しさを演出します

朝茶の献立・懐石

〈亭主が朝4時から支度したという渾身の献立・・亭主自らという演出が素晴らしいです〉

「向付(瀬戸内の目板カレイ風干しを土佐酢で和えたもの)・・魚の形の器がユニークでした。汁(焼き麩とジュンサイ)、飯」

煮物「瀬戸内特産の黒アワビ・しいたけ・三度豆・冬瓜・・すまし汁仕立て」・・すまし汁の味・香りに客人(千宗守氏・中川緑アナウンサー)が感激していました。千宗守氏は「煮物は西洋のメインディッシュ、夏の朝にぴったりの涼やかな料理、(料理は)目で見て味わう」とおっしゃっていました。

鉢物「焼き鱧・枝豆を二杯酢で和えたもの」・・赤かぶの輪切りも彩りを添えていました。

八寸「山のものが焼き万願寺、海のものが、さわらのからすみ(みそ漬け)」・・さわらのからすみは高松藩が徳川家に献上していたものだそうです。千宗守氏は「珍な味で、さっぱりしている」とコメント。

湯斗(ゆとう)と菓子の後は「中立ち」と言って外の腰掛けで次の「濃茶」に備えます


濃茶・・最も厳粛なハイライト

床の間拝見・・花から掛け物に変わります。「山水有清音」(さんすいせいいんあり)・・涼やかな句です。濃茶の道具の水さしは、ミャンマー産の「はんねら」、蓋は「つゆの降りたはすの葉」と心にくい演出。


茶椀は黒楽茶碗(銘 苔清水、一人造・・江戸中期)で、大変すてきな茶碗でした。

【今回は自然の持つ爽やかさを感じました。千宗守氏の「朝の時間を人工のものに頼らずに、茶の湯を通して自然の涼しさを味わう、夏を乗り切る工夫を取り入れては・・」という言葉が印象的です。大震災後、昔の人々がずっと行ってきた自然との共生、自然とうまく付き合う方法が今見直されていると思います。

今回でこのシリーズは終わりですが、夏の朝にふさわしい大変爽やかな企画で、茶の湯の奥深さに触れることができ、知識も身につきとても楽しく視聴できました。】


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武者小路千家・・ 茶室が文化庁指定の登録有形文化財  

武者小路千家は
京都市上京区武者小路通り新町西入るに、官休庵」を構えています。茶室が国指定の登録有形文化財になっています。辺りは閑静な住宅地です。千利休の流れをくむ表千家・裏千家に並ぶ三千家の一つです。
家元千宗守(せん・そうしゅ)氏はもとより、後嗣の千宗屋(そうおく)氏も茶の湯の文化を広げる活動を精力的にされています。


●明治時代の土壁・・京都市の歴史的意匠建造物   (2011.8)







































官休庵庭園・・京都市の名勝に指定されています













 


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