紫式部の部屋42
★『源氏物語・宇治十帖』の古蹟・・(八)蜻蛉(かげろう)
2010.9 京都府宇治市菟道垣ノ内 (写真;宇治川)
紫式部の「源氏物語」は11世紀の初めに書かれた全編五十四帖からなる長編小説です。最後の十帖は宇治を舞台にしている事から、通称「宇治十帖」と呼ばれています。そのゆかりの古跡が宇治橋を中心とした宇治川の両岸に10ヶ所点在しています。
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写真;源氏物語ミュージアム・灯籠より
★宇治十帖(八)・・「蜻蛉(かげろう」の古蹟
宇治の山荘は、浮舟の失踪で大騒ぎとなった。事情をよく知る女房たちは、入水(じゅすい)を推察して、世間体を繕うため母を説得し、遺骸の無いまま泣く泣く葬儀を行った。薫君も匂宮も悲嘆の涙にくれたが、思いはそれぞれ違っていた。
実情を知った薫君は、自らの恋の不運を嘆きながらも、手厚く四十九日の法要を営んだ。
六条院では、明石中宮が光源氏や紫上のために法華八講(ほっけはっこう)を催された。都では、華やかな日々を送りながらも薫君は、大君(おおいきみ)や浮舟との「つらかりける契りども」を思い続けて愁いに沈んでいた。
ある秋の夕暮れ、薫君は、蜻蛉がはかなげに飛び交うのを見て、ひとりごとを口ずさむのだった。
『ありと見て 手には取られず 見れば又 ゆくへも知らず 消えし蜻蛉』
平成十八年十月
(財)宇治市文化財愛護協会
【蜻蛉石・・線刻阿弥陀三尊仏】
蜻蛉の古蹟のすぐ隣に、宇治市指定文化財の「線刻阿弥陀三尊仏」があります。高さは206pで、蜻蛉石と呼ばれる自然石に、三体の仏の来迎が線彫りされている。正面が阿弥陀如来・左が勢至菩薩・右側が観音菩薩。時代は平安時代後期。
●史跡近くの学校、辺りは閑静な住宅地
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